2011年3月11日。これまで経験したことのない大きな災害が発生しました。東日本大震災。たびたび発生する大きな揺れと安否を確認しようにもつながらない携帯電話。テレビを通じて目の当たりにする巨大な津波に沿岸部の全てが飲み込まれていくあまりに残酷な光景。そして現在に至るまで収束の目処が立たない重大な原発事故。この日を境にこの国のすべてが変わってしまいました。
日本はあまりにも多くのものを失い、被災地から遠く離れて暮らす私たちでさえも風評被害をはじめとして物質的、精神的に様々な影響を受けています。震災から半年以上経過した現在、徐々に日常の生活を取り戻しつつありますが、復興への道はまだまだ険しく道半ばです。
今、直面している現実は非常に厳しいものですが、それでも我々は未来に向かって進んでいかなければなりません。明日への道を切り拓いていかなければなりません。
青年会議所は、明るい豊かな社会の実現を目指して運動を展開する団体です。この未曽有の国難の状況にある今だからこそ、我々はこの基本に立ち返ってJC運動を展開していかねばなりません。我々青年の行動こそが未来をつくり、愛する地域の明日をつくっていくものだからです。
全ての青年会議所のメンバーは明るい豊かな社会を実現すべく、地域への奉仕活動を実現する過程で発生する様々な課題を解決することで自己啓発と修練を行っています。同じ時間と同じ経験を共有することで生まれる固い友情を日々育んでいます。これまでJC運動に邁進されてきた数多くの先輩方から現役メンバーの我々に至るまで、JC運動を通じて育まれた信頼しあえる人と人の絆、その「人の絆」こそがまちをつくり、ひとを動かしていく。言い換えるならば、脈々と続くJAYCEEの絆が地域住民をも巻き込んで明るい豊かなまちづくりを進めていく。こうした運動展開ができる団体は青年会議所において他にはないと私は考えています。
(社)伊勢崎青年会議所は、2010年9月の定時総会で公益社団法人格の取得を目指す決議を経てから粛々と公益社団法人格取得に向けての準備を進めて参りました。本年度は、公益社団法人格取得のための各種手続きを進めて参ります。
『人づくりこそがまちづくりの礎となるものである。まちづくりのできる人を育成することは将来のまちをつくることである。まちづくりは継続的なものであり、まちのあるべき姿に向かって常に運動し続けなければならない。』
これは社団法人伊勢崎青年会議所運動指針の主文です。2007年度よりこの運動指針に則ってJC運動を展開して参りましたが、本年度は運動指針の見直しの年にあたります。運動指針の制定時には入会して間もなかったメンバー、あるいは入会していなかったメンバーが会員構成の大半を占めるようになった現在、社団法人伊勢崎青年会議所運動指針が制定された背景と意義を全メンバーで再確認し、全ての可能性を排除せずに検証して参りたいと考えております。
また、2013年、(社)伊勢崎青年会議所は創立50周年を迎えます。これまで多くの先輩方が一歩づつ着実に歩みを進めてきた輝かしい伝統と歴史に敬意を払いつつ、半世紀の永きにわたる活動の総括と未来へのビジョンの提示、そして創立50周年にふさわしい規模と内容の事業を実施しなければなりません。本年度は、来るべき創立50周年への準備に着手して参ります。
最盛期で100名余を数えた(社)伊勢崎青年会議所の会員数は減少の一途をたどり、ここ数年約60名で推移しております。毎年メンバーの皆様の頑張りによってなんとか深刻な会員減少を免れている状況です。 これ以上の会員数の減少は、規模的に実現できる事業が限られ、組織の運営に支障をきたす可能性も否定できません。
本年度はこれまで会の中心となってご活躍されてきた10名のメンバーが卒業を迎えます。これまで以上にメンバー各自が会員拡大について真剣に考え、メンバー全員で会員拡大していきたいと考えております。
それでは、私たちはどのように会員拡大に取り組んでいくべきでしょうか。
まず最初に取り組まなければならないのは、今までの活動と同様、候補者を紹介していただけるよう周りの方や諸先輩方への声かけの活動を地道に実施していくことです。これは会員拡大の基本であり、メンバー全員が取り組むことのできる会員拡大活動です。日々メンバー全員で真剣に取り組んでいけば、それだけでも確実に成果は上がると考えています。
現在の経済情勢を考えると、この時期に仕事以外の活動へ誘いをかけるのはなかなか難しいものがあると思いますが、かけた時間とお金以上に自分にとって得られるものがある、それだけの魅力がある団体であるという点をアピールできるように、あるいはわざわざアピールしなくても周りの人にそのように見てもらえるように、私たちひとりひとりが日々の仕事に、家庭に、そしてJC運動に邁進していきましょう。
次に、新たに取り組むべき点として、女性会員の拡大を挙げさせていただきます。
(公社)日本青年会議所におきましても女性会員拡大の取り組みが行われており、私たちも同様に女性会員の拡大に取り組んで参りたいと考えています。(社)伊勢崎青年会議所におきましても、近年女性会員の活躍は目覚ましいものがあり、組織の活性化に大きな貢献をしております。さらに、休会規定の整備など、女性が活躍しやすい環境が整ってきている今、取り組むべき価値のある活動であります。
世界に目を向けると、JCIの女性会員の比率は60%ですが日本国内の女性会員比率はたったの5%です。私はここにも新規会員拡大の可能性を見出したいと考えております。 この伊勢崎市にも、まだまだ発掘されていない女性の会員候補者がたくさんいるはずです。本年度は女性会員の拡大にも積極的に取り組んでいき(社)伊勢崎青年会議所に新たな活力を生み出していきたいと考えております。
また、新たなメンバーが何人入会してきても、出席してこなければ全く意味がありません。ただ年会費を払うだけのスリープメンバーになってしまうのは、本人にとってもいいことではないですし、仮になかなか出席できないメンバーでも、機会があれば気軽に出席できる組織、そして多くのメンバーで様々な事業に積極的に取り組んでいける組織を目指していきたいと考えております。本年度は、新入会員の育成と既存会員の活性化にも取り組み、組織の活性化を図って参りたいと考えています。
社団法人伊勢崎青年会議所運動指針に、『人づくりこそがまちづくりの礎となるものである。まちづくりのできる人を育成することは将来のまちをつくることである。』という一節があります。
将来のまちをつくるのは誰ですか。
こう問われたとき、私たちは地域のリーダーとして自信を持って手を挙げることができるように成長していかねばなりません。地域のリーダーたりうる資質を身につけ、あるいはもともと持っている資質を磨き上げてより素晴らしいものにする。そのために必要となるものは各メンバーごとに異なると思いますが、自分たちを良い方向に導いていくために共通して役に立つのが、いわゆる『お手本』です。
何かを学ぼう、得ようと考えるとき、私たちは本を読んで知識を得たり、その道のスペシャリストに教えを乞うたりします。本年度は、私たちメンバーひとりひとりがそれぞれ自分を成長させるために、有用と考えられる良い『お手本』に様々な形で触れる機会を作る事業を実施します。また、その機会を市民の方々にもできる限り開放し、市民の皆様の意識向上を図り、副次的な効果として、地域住民に対する青年会議所の存在感の向上にも寄与したいと考えております。
私たちは親子、夫婦、友人、同僚、など様々なつながりがある中に日々を暮らしています。その、人と人との絆こそが私たちが暮らすまちを形成する大きな要素になっています。
青年会議所が掲げる明るい豊かなまちづくり、その『明るい豊かなまち』と聞いて最初にイメージされる姿は、例えば名所旧跡や地域の特産物かもしれません。あるいは、地域のおまつりなどのイベントかもしれません。十人いれば十人なりの様々なまちの姿が想起されて然るべきですが、どのような姿を思い浮かべたとしても、そこには必ずまちに暮らす人々の笑顔があるはずです。
私たちは、この伊勢崎に暮らす人々を少しでも笑顔に、そして元気にできる機会を提供することはできないでしょうか。人と人との絆をつくることで、まちにくらす人々の笑顔を少しでも増やせるような、そんな機会を事業を通じて提供したいと考えています。
普段関わることが少ない人同士がつながりを持てるきっかけを与えること、そこで作られた人の絆が笑顔のまち、元気なまちをつくっていくと考えております。本年度は、参加する人と人との絆を大切にした事業を実施いたします。
子どもは地域の宝です。この地域の、この国の未来の担い手です。
子どもに、こうあってほしい。こんなことを体験してほしい。こんなことを学んでほしい。子どもの親も、学校の先生も、子どもを教育している立場の人たちは皆、少なからず理想を持っているはずです。しかし、現実は厳しく、学校や家庭だけでは実現できないこともたくさんあるのではないでしょうか。
家庭だけ、親の力だけでは実現するのが難しい経験、学校だけでは経験できない学びの場を提供することで、子どもたちの未来に希望の光を灯したい。様々な経験をしている子どもたちの姿や表情を通じて親御さんにとっても学びや気づきを得る機会を提供したい。
本年度は、子どもにとって第一の場所である家庭。第二の場所である学校。その二つの大きな存在だけでは補いきれないところを、我々(社)伊勢崎青年会議所が学校や家庭、あるいは地域の人々と連帯し、第三の場所のひとつとして未来の担い手である子どもたちのための事業を実施いたします。
私たちにできることはほんの小さな一歩を踏み出すことだけかもしれません。
しかし、たとえどんな小さな一歩でも踏み出さなければいつまでも同じ場所から前に進むことはできません。
自分一人が持っている力は小さなものかもしれません。それでも我々JAYCEEが力を合わせれば小さな力は徐々に大きな流れを作り、世の中を変える原動力になると考えています。
顔を上げましょう。
しっかりと前を向いて未来を見据えましょう。
胸を張って毎日を笑顔で過ごしていきましょう。
大人たちが元気に笑顔で毎日を過ごす姿を見て、次代を担う子どもたちは未来に希望を抱き、お年寄りたちは安心して毎日を過ごす。私たちが暮らす伊勢崎の地をそんな素敵なまちにするための一年にしていきたいと考えております。
私たちが日々行っている活動は、自分たちを成長させ、このまちを動かす希望です。
みんなで一緒に希望を大きく育てましょう。愛する地域のすばらしい未来のために。
(社)伊勢崎青年会議所第49代理事長として誠心誠意努めて参りますので、メンバー諸兄のご理解、ご協力を心よりお願い申し上げまして私の理事長所信とさせていただきます。