第53代理事長
矢尾 明彦
私が伊勢崎青年会議所に入会したきっかけは、単純に父親が伊勢崎青年会議所メンバーであったということでした。特に伊勢崎青年会議所に入会し、何かを成そう、成長しようという目標はなく、ただ何となく入会しました。そんな新入会員の私に対し、先輩方はとても親切に、そしてとても親身になって接してくださいました。目標もなく入会した私も、先輩方に支えられ、青年会議所運動を通しさまざまなことを学び、そして現在、メンバーを支える側に立つことになりました。 青年会議所は「意識変革団体」と言われます。青年会議所には「修練」「奉仕」「友情」という三信条があります。この三信条に則り意識を変革し続けることが大切です。自分自身を変革し、愛する地域を変革し、同じ志を持つ仲間を変革する。現在よりも少しでも良くなるために変革し続ける団体が青年会議所であると思います。 本年度は、自分自身の意識を変革し、素晴らしい仲間と友情を育みつつ地域社会へ貢献し続けていきたいと思います。
全盛期では100名を超えた伊勢崎青年会議所の会員数は近年減少し、約60名で推移しています。ここ数年は会員拡大を青年会議所運動の最優先事項の一つとして挙げてきた甲斐もあり、徐々に会員数は増加しています。また一方では、2012年度に伊勢崎青年会議所は社団法人から公益社団法人へと法人格の移行を行い、法人格維持の為のさまざまな制限が付け加えられました。現在の運営状況からすると、会員数が50名を下回ると抜本的な運営改善が必要となります。もちろん会員拡大は団体の運営維持の為にするわけではありません。我々の運動を広くこの地域に発信し、伊勢崎の地をより良い地域にするためには多くのメンバーが必要です。同じ志を持つメンバーが増えれば、運動の質も量も充実したものになり、より良い青年会議所運動を推進していくことができます。 2016年度、10名のメンバーが卒業を迎えます。今後も同様に、10名前後のメンバーが卒業を迎える年が続きます。組織力として、数は大きな要因の一つとして挙げられます。現状維持ではなく、より良い青年会議所運動を発信する為に、本年度、20名の会員拡大を行います。
会員拡大には何が必要か。その1つはメンバー一人ひとりが魅力的な人間になることだと思います。人は人の魅力に引き付けられます。この人についていきたい、一緒に頑張りたいと思われることが重要であると思います。青年会議所メンバーとしての魅力の一つに会員資質が挙げられ、そして会員資質の重要な要素の一つが青年会議所運動の理解度であると思います。青年会議所運動を理解したうえで、入会候補者が求める情報を伝えることができ、青年会議所の魅力を入会候補者に伝えることができるメンバーが増えれば、会員の拡大を成すことができると思います。もう1つは、メンバー全員が一丸となって会員拡大を行うことです。組織はメンバーが団結することで力を上げます。個人ではできないことも、仲間と協力することで成しえることが必ずできます。 本年度は、全メンバーで情報を共有し、行動を起こすことで、メンバー一丸となった会員拡大の推進を図っていきます。
伊勢崎青年会議所運動指針に「人づくりこそがまちづくりの礎となるものである。」という一節があります。まちづくりを含む青年会議所運動はメンバーが行うものです。我々メンバーの資質向上は、運動の質の向上につながります。 青年会議所には前述の通り「修練」「奉仕」「友情」という三信条があります。これは、「自分自身の為に」「地域の為に」「仲間の為に」と言い換えることができます。この3つにバランス良く力を入れることが必要です。青年会議所は、地域のオピニオンリーダーでなければなりません。地域の為に、仲間の為に、いつ如何なる時でもリーダーとして先導していく資質を備えることが、青年会議所メンバーとして必要なことであると思います。
2012年度に伊勢崎青年会議所は社団法人から公益社団法人に移行しました。公益社団法人として、公益目的事業については充実してきました。しかし、公益目的事業ではない研修事業等の共益事業へは予算を充当し辛くなってきている為、メンバー自身への研修事業等については、実施し辛くなっているのが現状です。さらに、委員長等の責任ある立場に入会まもないメンバーがなることが多くなっており、青年会議所運動がどういうものかを理解する前に事業の指揮を執ることが今後も増えていきます。もちろん入会まもなく責任ある立場に立つことは、成長する機会を早期に得ることができる為、その人にとって大きなメリットにもなりますが、多くの困難もあります。その為に、青年会議所運動とはどの様なものなのかを理解する機会を設けていく必要があると思います。
本年度は、メンバー一人ひとりが自分自身と向き合い、青年会議所メンバーとはどうあるべきかを学び、自分が何をすべきかを理解し、地域のオピニオンリーダーとして成長する機会を設けていきたいと思います。
青年会議所は、多様な業種、立場の人で構成されています。さまざまな能力を持つ人たちが集まり、切磋琢磨し、一つの物を作り上げていく団体です。ただし、多様な業種、立場のメンバーがいれば、就業時間、休日もさまざまであり、全員が一堂に会すことは難しいのが現状です。そこで必要なのは「志」を共有することだと思います。青年会議所綱領で「志を同じうする者、相集い、力を合わせ」とあるように、伊勢崎青年会議所メンバーとして同じ志を持ち、仲間とともに力を合わせることが必要であると思います。事業自体に参加できずとも、計画立案、事業準備に力を尽くす等、組織運営に対し参加する方法は多様にあります。同じ志を共有する仲間と相互協力していくことにより、より素晴らしい組織となり、深い友情が築けることと思います。 我々が青年会議所運動にかけた時間は、必ず後々の人生で宝となります。運動を続けることにより多種多様なつながりができ、かけがえのない仲間との友情が芽生えることになります。また仲間とともに地域貢献することから自分自身の成長につながり、そして自分自身の成長が伊勢崎青年会議所の発展につながることで好循環が生まれるのです。 本年度は、青年会議所運動を通し会員相互の友情を築くことで、伊勢崎青年会議所の発展に努めていきます。
我々の住む伊勢崎市は昨今、北関東自動車道、東毛広域幹線道路(国道354号)の開通により、交通の利便性が向上してきました。また2016年度、上武道路(国道17号)の未開通区間(県道4号前橋赤城線〜現国道17号)の開通も控えており、その利便性はさらに向上することでしょう。また田島弥平旧宅を含む絹産業遺産群の世界遺産登録等、報道等でも「伊勢崎」の名称が聞かれることが多くなってきました。さらに多少の増減はあるものの、全国でも稀に見る人口増加地域であり、伊勢崎市統計書等によると全国的にも転入者数は多く、結婚率や出生率も高くなっております。伊勢崎市による市民意識調査によると、市民の約7割の人が伊勢崎市は住みやすいと回答しています。このような結果が出ているのは、市民にとって伊勢崎が非常に住みやすい地域であるからと言えます。 しかし私は、伊勢崎市に暮らす市民にとって、伊勢崎市が住みやすい町と感じることも勿論大切ですが、伊勢崎市に対し誇りも持っていただきたいと思います。今まで、伊勢崎市が前述の転入者数や結婚率、出生率等の統計を持っていることを知らず、その為、その統計を導き出す要因についても調査しようとしておりませんでした。市民は、前述の伊勢崎の利便性や地域特性、統計の要因等の伊勢崎市の特徴を知っているのでしょうか。まだ知られていない伊勢崎市の魅力が多くあるはずです。多くの魅力を知ることにより、市民一人ひとりが伊勢崎市に対し誇りを持つはずです。 青年会議所はまちづくり団体です。我々が住む地域が現在どのような状況でどのような方向に向かっているか、まだ知られていない魅力はないか、等を調査し、さらにまだ発信しきれていない特徴や魅力を伊勢崎青年会議所が先頭に立って市民に発信していくことが必要であると思います。我々青年会議所メンバーと市民が、伊勢崎市の方向性、魅力を共有し、伊勢崎市に対し誇りを持って頂くことが、より素晴らしい地域とする為に必要なことであると思います。 本年度は、地域の魅力の発見、発信をすることで、市民を巻き込んだ誇りある地域づくりをしていきたいと思います。
子供というものは、晴れやかな笑顔に溢れ、輝かしい希望に満ち溢れているべきものです。無限大の可能性を持ち、周りの大人たちにもそこにいるだけで希望を与えてくれる存在です。ただし、私が子供であったときに比べ、インターネット技術の発達や、社会情勢の変化、学校教育制度の変化等によって、子供を取り巻く環境は非常に変化しています。ソーシャルネットワーキングサービス等の顔の見えないコミュニケーションが低年齢層の子供たちにも普及し、子供が関係した誹謗中傷が飛び交う、学校教育でも昔に比べ、教師が生徒の問題に関わり辛くなる、就職や経済情勢が不安定となる等、多くの子供が自分に自信を持てず、将来に希望を持てなくなっていないでしょうか。
子供たちには周りに希望を与える力があり、そして未来に無限大の可能性があることを知ってもらい、自分に自信と将来への希望を持ってもらいたいと思います。そして、自分以外の人たちも同様であることを実感することにより、他者に対する愛情が芽生え、大切に感じることができると思います。自分自身の存在意義と他者の存在を実感し未来を想い描くことにより、成長と自立につながっていくことと思います。 また、子供たちが自身の価値、そして将来の可能性に気づくには、周囲の大人たちの成長も必要です。子供たちの家族、学校、そして伊勢崎青年会議所メンバー等が、子供たちが現在どういう状況にあり、どのような環境の変化があるのかを知り、どの様に子供の成長に協力できるのかを学ぶことで、子供の健全な成長につながることと思います。子供の成長には周りの大人たちの成長が欠かせません。子供とともに周囲の大人も成長していくこと、周囲の大人たちが連携し、共に子供を育てることが、共育であると思います。 本年度は、子供たちが自身の価値、将来の可能性に気づきを与えられるよう子供に働きかけるとともに、周囲の大人に対しても子供とともに成長できる機会を設けていき、笑顔と未来への希望満ち溢れた子供の健全な成長につなげていきたいと思います。
我々が行っている青年会議所運動は、継続的に行っていくべき運動です。行政や企業に頼るばかりではなく、まずは自分自身の意識を変革し、同じ志を持つ仲間とともに率先して愛する地域の為に行動することが、青年会議所綱領にもある「明るい豊かな社会」を築き上げる為に必要なことであると思います。また、伊勢崎青年会議所はこれを成しえることができる団体です。伊勢崎市をより良い地域にする為には、自分自身で何をすべきかを考え行動することだと、メンバー全員が理解できるよう努めてまいります。
すべてのメンバーが誇りを持って青年会議所運動に邁進し、先輩諸兄が半世紀以上にわたり築き上げてこられた歴史に恥じぬよう、伊勢崎青年会議所を1年間支え続け、そして次代に引き継いでいきたいと思います。 最後になりますが、公益社団法人伊勢崎青年会議所第53代理事長として、全メンバーが輝かしい成長を遂げ、そして伊勢崎市がより明るく豊かな社会になる為に精一杯役職を全うしていきます。メンバー諸兄、並びに関係団体の皆様のご指導ご鞭撻、そしてご協力をお願い申し上げまして、理事長所信といたします。