第54代理事長
泉 宏彰
伊勢崎青年会議所は、昭和39年に日本で257番目の青年会議所として認証されて以来、長きにわたり諸先輩の一人ひとりが運動を積み重ねて来られて今日に至ります。いつの時代も我々青年は、課題に立ち向かいながら、このまち、そしてこの国の未来を創るために行動し続けていかなければなりません。現在、我々が生きているこの時代は、困難に立ち向かいながらも、未来を切り拓いてきた先人たちから託されたものであり、次代へより良い形で繋いでいく責務があります。未来への責任と過去への感謝を忘れずに、今を生きる我々に何ができるか、改めて一人ひとりが考える必要があると感じます。
JC運動がこのまちに産声をあげて以来、創始の頃からは想像もできない程に生活や環境が変貌を遂げた今、我々には何が求められているのでしょうか。我々には若さという武器があります。時には生意気と言われても、失敗を恐れず行動していこうではありませんか。また、我々が、地域に必要とされ続けるためには、変革をしながら行動を起こし続けなければなりません。このまちの未来に誰よりも想いを馳せる団体として、更なる飛躍を遂げるため、誇り高く勇気を出して挑戦していきましょう。
青年会議所は20歳から40歳までの地域のリーダーたらんとする青年の集まりです。40歳を迎えたメンバーは卒業となり、毎年新たなメンバーを迎えながら、組織を硬直化させることなく、時代に合わせて変革を遂げてきました。このまちにJC運動は必要かという問いにメンバーはどのように答えるのでしょうか。考えるまでもなく、明るい豊かな社会の実現を目指すこの運動を絶やすようなことはあってはなりません。そのためには、次代に繋ぐための会員拡大が必要なことは明らかです。
近年、会員拡大が多くの場面で叫ばれております。また、群馬県内の青年会議所に目を向けても、会員数が純増している青年会議所が目立つようになりました。会員拡大において重要なことは、当事者意識だと考えます。私自身、会員拡大の担当者になるまでは、誰かがやることだと感じていたように、多くのメンバーが他人事のように考えてはいないでしょうか。会員拡大の成功は、如何に多くのメンバーを巻き込めるかにかかっております。本年は、会員拡大は全メンバーで行うのだという意識を醸成することに全力を注いでまいります。何事も現状を維持しようと考えると衰退をしていくように、会員拡大を意識してこそ、このまちのJC運動が維持できるのです。未来ある多くの青年を同志として迎え入れ、このまちで半世紀以上にわたって継続されているJC運動を未来に繋いでいくことは、我々に課せられた重要な使命だと考えます。
1990年代以降日本経済が低迷し続ける中、失われた10年から失われた20年ともいわれる状態が今もなお継続しております。このような状況だからこそ、自らの力で各々が携わる事業の繁栄に努めるのが、青年経済人としての最も大事な役割の一つです。我々は、JAYCEEである前に地域に根ざした青年経済人です。JC運動を通じて、個人が成長することはもちろんですが、その成長を経済活動に反映し、事業の継続・発展に努めることで、雇用の確保、利益の創出など、地域に貢献することを忘れてはなりません。
また、JC運動に参加できるのは、各々が携わる事業があればこそだということはいうまでもありません。青年経済人として仕事に向き合い、従業員や家族に夢を語り、その実現に導く重責を担っております。その上で、このまちの未来を大いに語り合い、明るい豊かな社会の実現に向けて運動を継続する必要があるのです。どちらも不可欠であることは明らかです。青年経済人として、JAYCEEとして、地域を牽引する人材になるべく、自己研鑚に努めていきましょう。
我々の住む伊勢崎市は、日本全体が人口減少に見舞われる中でも、数少ない人口増加地域です。また、近年の道路交通網の発達や宮郷工業団地の整備など、明るいニュースも少なくありません。伊勢崎青年会議所はこのまちで半世紀以上にわたり、明るい豊かな社会の実現を目指し、時代毎に異なる課題に目を向け、その解決のために様々な運動を展開して参りました。まちづくりは、我々だけの力で行えるものではありません。行政、地元企業、各種団体、地域住民、多くの方々との関わりによって、実現できるものだと考えます。
しかし、多様な分野の方々が集まり、このまちのことを考える場がどのぐらいあるでしょうか。また、自分が住まうまちのことに、どれだけの地域住民が想いを寄せているでしょうか。まずは、我々が現状の課題をしっかりと把握する必要があります。その上で、多様な分野の方々との橋渡し役となり、多くの意見を反映した課題解決の場を提供し、先導役としてこのまちに活力を生み出す場を設けてまいります。さらに、その結果を広く提言し、運動を広めることも忘れてはならないと考えます。
青少年育成事業を継続して行っている我々に対する期待は益々高まっているように感じます。その代表が、6年間継続して行ってきた職業体験事業です。行政や教育委員会、子を持つ親世代からも、大きな評価をいただいております。本年もこの職業体験事業を通じて、子供に将来への夢と希望を与えるべく継続してまいります。私自身、子を持つ親として、子供にこんな職業に就くのも良いのではないかと、助言することがあります。子供は信頼している親のいうことであるため、素直に聞き入れてくれるかもしれません。しかし、そこにたどり着くまでの道のりには、いくつもの試練が待ち受けています。この試練に立ち向かう勇気を与えてこそ、夢の実現へと一歩近づくものだと考えます。本年は、困難に立ち向かう体験の中から、挑戦する心を育み、自らの将来を切り拓く勇気を与える事業を実施してまいります。
平成28年6月19日に施行された公職選挙法の改正において、これまで20歳だった選挙権年齢が18歳まで引き下げられました。施行後初の国政選挙となった参議院議員選挙における、18歳、19歳の投票率は若者世代の中では、高い水準だったといえます。一方、選挙の度に、年々下がり続ける投票率に目を向けると、この国の未来を考える大人が減り続けているように感じます。特に若者世代の投票率は低迷し続けております。子供には選挙権がないこともあり、政治や選挙に無関心になりがちです。しかし、いずれこの国の未来を担うべき時が必ずやってきます。だからこそ、選挙権を行使するだけではない、本来の主権者意識のあり方を伝える必要があると考えます。
余裕を持ってJC運動ができる境遇にあるメンバーなど一人もいないはずです。我々は、限られた時間の中でJC運動に時間を割いております。20歳から40歳までの人生で最も可能性を秘めた時間を全力で駆け抜けようではありませんか。妥協をすることは簡単ですが、いつか必ず、やらなかったことを後悔する時がきます。多くの青年が集い、理想を掲げ強い意志を持って行動すれば、必ず輝かしい未来へと繋がるはずです。JC運動を継続することは決して容易なことではありません。だからこそ、そこから多くの学びが得られるのです。
最後になりますが、公益社団法人伊勢崎青年会議所 第54代理事長として、多くの諸先輩が抱いてきた想いを引き継ぎ、伝統を重んじながらも、変革を恐れず、志を同じうする多くの仲間と共に、力の限り任期を全うしていくことをお誓い申し上げ、理事長所信と致します。