2024年度 理事長所信

【はじめに】

第61代理事長
佐俣 嘉康

 私は2015年7月に伊勢崎青年会議所に入会しましたが、正直なところ入会をするまで青年会議所を知りませんでした。修行として別会社で数年働いた後に自社に入社しましたが、やはり社会人としても経営者としても未熟であり、自分自身を成長させるために学ぶ場が必要だと感じていました。その中で出会ったのが青年会議所でした。メンバーとして活動をしていき、自分にとって必要である知識や経験を多くもっている先輩方、自分と同じような立場や視点で悩みを相談できる同年代の方が多くおり、青年会議所であれば自分を成長させる良いきっかけを得られるではないかと思いました。今ではかけがえのない仲間と苦楽をともにしながら活動を行っており、何者にも代え難い存在になっています。伊勢崎青年会議所は我々の運動に理解を示し、ご協力いただきました行政を始めとする関係諸団体のお陰様をもちまして、昨年度、創立60周年を迎えました。これは創立から今日まで、幾度となく時代の変化に対応し、多くの困難に立ち向かいながら、地域を良くしようという想いを胸に活動されてきた先輩方のご尽力の賜物だと思います。この想いを次代へと紡いでいくためにも2024年度は仲間とともに地域の課題解決に真正面から向き合い、邁進してまいります。

【持続可能な広報を】

 青年会議所の理念である「明るい豊かな社会の実現」を成し遂げるには、青年会議所のメンバーだけでなく、地域の方を巻き込んでいく必要があります。そのためには地域での認知度を向上させ、我々の活動や地域の青年が結集し社会貢献することを目的に組織された団体であることを広く知らせる必要があります。いかに良い事業を行ったとしても、どの団体が行っている事業なのかを知らないで参加しそのまま帰ってしまうのでは、地域の人への伝播は望めず、認知度の向上にはつながりません。SNSなどによるネットでの情報伝達が主流となっている中、伝えたいターゲットに向けて適切な情報を届けるには、広報戦略が必要不可欠になります。
 伊勢崎青年会議所はここ数年、SNS媒体を中心に広報の充足を図ってきました。各年度の取り組みなどにより、フォロワー数は確実に伸びてきており、少しずつ認知度は増してきてはいますが、まだまだ充分でなく、2024年度は更なる広報の拡充を図っていきたいと思います。
 取り組みとして、公式サイトのリニューアルと SNS の拡充を行います。インターネット上の名刺や看板に例えられる公式サイト、伊勢崎青年会議所にも当然ありますが、10年以上昔に作られたものであり、パソコン以外の端末との互換性や他の媒体との連動性が取り入れられておらず、今の時代に即していない部分があります。その点を踏まえながらリニューアルを行い、インターネット上でのプラットフォームの整備を行います。加えてSNSの拡充です。現状、SNS は私たちの暮らしに身近な存在であり、気軽に情報の収集や発信ができ、拡散しやすいため、的確に利用することで多くの人に情報を伝えることができます。SNSを利用することでの認知度の向上、そして、他の媒体や広報手段を模索することで拡充を図り、青年会議所のブランディングに努めます。
 また、我々の運動の発信も頻度を高めていきます。これまでは、地域の方に向けて事業を行う際に参加者を集めるための周知を行ってきていましたが、事業を行った結果を発信する機会が少なかったように感じます。先にも述べたようにどれだけ良い事業を行ったとしても、伝えたい人に伝えられていないのでは意味がありません。我々が地域のために運動を行い、どのような結果をもたらしたのか。我々の運動を市民の方に共有し、共感してもらう発信を行ってまいります。それが、我々の運動への認識と次の事業への参加意欲を向上させるきっかけとします。
 また、メンバーに向けても同様です。事業の案内を流し、事業への参加を促してきましたが、事業後の報告は少なかったように感じます。それでは、参加しなかったメンバーに何を行ったのか知ってもらえず、次の事業への参加意欲につなげられません。参加することにより、どのような成長の機会を得られたのか。事業中のリアルタイムの情報を配信し、事業後には事業報告として、参加人数やどのような結果をもたらしたかなどを知ってもらうことで、次の事業に興味をもっていただく機会とし、出席率の向上につなげていきます。
 有効な情報発信の場を整備し、的確に効果的な広報活動を実行することで共感を生み、意識変化による参加を促せる広報を実施していきます。

【組織力を上げる資質向上】

 青年会議所に入会する動機は様々で、人脈を作りたい、自己成長をしたいと思うメンバーがいる一方で、仕事や先輩との付き合いで入会したメンバーもいます。青年会議所の使命の一つに「青年が社会により良い変化をもたらすためにリーダーシップの開発と成長の機会を提供する。」とあるように、私たちは事業を通じて、メンバーに成長の機会を提供する必要があります。その成長の機会を享受し、成長出来たことを感じてもらい、卒業する時には入会して良かったと同じ気持ちになっていただきたいと思います。
 青年会議所メンバーは青年経済人として、各々の仕事をもっています。メンバーが今後も活動を継続していくには、社業を発展させ継続していくことが重要です。地域の青年経済人が集まっている青年会議所だからこそ、各地会員会議所メンバーや先輩方との交流の中で、人脈を広げながらビジネスで有用な情報を共有することができます。また、様々な仕事に対する信条やスタンスをもったメンバーが在籍しており、その人が歩んできた人生や業種によって入会当時にもっている考えやスキルには違いがあります。それらの個性をもつメンバーが切磋琢磨し、お互いの不足している部分を補完しあいともに研鑽することで高めあうことができます。そうすることにより、JAYCEEとしても青年経済人としても成長し、地域に貢献し地域を牽引する人財として輩出することができます。
 組織の進化を考えるとき、先ずは組織を構成する人について考えることが重要です。いかなる組織もその中心は人であり、人の成長こそが組織の成長へとつながるからです。青年会議所の会員は40歳を迎えると卒業するため、得られる成長の機会には限りがあります。また、青年会議所は単年度制であり、メンバーは一年毎に様々な役職を経験することで、豊富な実践経験を積むことができますが、その役職での経験を積めるのはその一年しかありません。私たちは機会を提供し続けますが、最終的に前向きに受け入れ、自己成長につなげるかは自分自身の判断になっていきます。自ら選択、行動し、汗をかいて経験したことは、そのメンバーにとってかけがえのない何かを与え、自分の人生において有意義なものとなります。最初の一歩を踏み出すには勇気や覚悟が必要です。その一歩を踏み出す後押しを全力で行っていきます。それがメンバーの成長のきっかけとなり、共に学び成長することで気持ちを前へと進めることができ、周囲から認められることで、人脈も自然と広がっていくこととなります。その人脈の輪が広がり、共に助け合うことで青年会議所は成り立っています。成長の機会を享受できたメンバーにとって、青年会議所の活動は、今後の人生により良い影響をもたらしてくれます。

【いせさきまつりを成長の機会へ】

 いせさきまつりの一端を担う「おまつり広場」は1980年に伊勢崎市から依頼を受けて以降、長年に渡り伊勢崎青年会議所が設営してきました。これは、当会の今までの実績に対する行政の信頼の証であり、先輩方の紡いできた歴史と伝統を絶やさないため、また、地域の方に「おまつり広場」を楽しんでもらうためにも、今後も責任をもって設営を行っていく必要があります。
 若手の登竜門と位置づけられている「おまつり広場」の設営ですが、まさにその通りであると感じます。私は 2015 年に入会し、初めて参加した事業がいせさきまつりでした。当時、右も左もわからない中でしたが、与えられた役割を全うすることで得られた達成感や一つの事業を組み立てる青年会議所の一体感は私の青年会議所運動の根幹を成しています。2023年度は青年会議所内でいせさきまつりの担当責任者として携わり、初めて参加したり役職を経験したりしたメンバーが、青年会議所運動への今まで以上の積極的な参加、自発的に行動するようになったことを見て、いせさきまつりの設営はメンバーにとって他には代え難い成長の機会だと改めて感じました。与えられた条件の中で試行錯誤しながら、事業の企画や会議の運営、メンバーへの呼びかけや参加者の募集、今まで経験したことのないことを行うのは決して容易ではないです。しかし、やり遂げた先に得られる経験は、今後の青年会議所や仕事に良い影響を与えることになるでしょう。それぞれが与えられた役割を自らの成長の機会だと意識し、責任をもって全うすることでいせさきまつりを盛り上げていきましょう。

【次の時代へつなげる会員拡大】

 産業革命以降、エネルギー革命などにともなう社会構造の変化により、人々の暮らしは以前とは比べられないほど豊かになり、人口も爆発的に増加しました。その後の経済成長には人口の増加が起因しており、青年会議所の発展にも同様のことがいえ、LOMの数や会員数が増えることで活発化し、現在では地域に必要な存在となっています。数は力であり、新しい価値を創造するためには、新たな人財が必要で、今後も地域のオピニオンリーダーとして活動していくためにも会員の増強は必須といえます。
 会員拡大を行うためには、入会間もないメンバーに私たちが何者であり、どのような活動や成長の機会を得られるかを明確にし、認識してもらうことが必要です。なぜなら、既存のメンバーにはない入会候補者の情報をもっており、新入会員が会員拡大において重要な要素を担っているからです。また、入会年数が3年未満のメンバーの割合が4割を超えており、出席率が低い現状をみるとメンバー全体に青年会議所の理念やメリットを伝えきれていない状況であります。青年会議所は40歳で卒業となってしまうため、その期間内でしか享受できない人と人との出会いやつながり、限られた時間を尊いものだと認識し、仕事や私生活と同様に優先順位の高いものと考え、自己成長の時間だと捉えてもらうことが必要です。まずは、メンバーが活動に参加する中で、青年会議所で得られる学びや人脈作りの機会を認識してもらい、当事者意識をもってもらうことで入会候補者に伝播させ、共感の輪をつなげることで会員拡大をしていきます。
 今後も地域に貢献できる青年会議所出身者を多く輩出していくことで、地域に必要とされる組織であり続けることができます。青年会議所運動を次代につないでいくためにも、青年会議所の理念に共感し、魅力を語ることのできる人財を一人でも多く迎え入れられるように努めていきます。

【持続可能なまちへ向けて】

 青年会議所は「明るい豊かな社会の実現」を理想とし、先輩方がその時代ごとの地域課題を解決するために運動を行ってきました。その理想を達成するためには、我々の力だけでなく、時には行政、民間企業、地域住民と協力し事業を展開していく必要があります。その中で2021年より日本青年会議所と全国社会福祉協議会の間で災害支援協定が結ばれたことを契機に、各地の青年会議所と各市町村や管轄の社会福祉協議会間で官民連携の意識が高まり、伊勢崎青年会議所も2023年に伊勢崎市社会福祉協議会と災害協定を結びました。
 異常気象による豪雨災害や台風被害、大地震の発生による被害などが懸念される中(※1)、地域にはより身近な防災の取り組みや防災に対する危機意識の向上が必要となります。災害自体を事前に防ぐことは困難ですが、準備や取り組みなどにより減災することは可能です。有事の際に被害を最小限に抑えるためにも、地域の方が防災意識を常に高くもっていることが重要となります。そのためには、地域住民が防災の意識や知識を得ることで自分や家族を守れるようになるための「自助力」の向上、インフラの整備や適切な情報を発信することができる「公助力」の整備、地域コミュニティの中で共に助け合う精神を養うことでの「共助力」の促進を図っていくことが重要です。それらが三位一体となることで、災害時であっても迅速かつ的確に行動できる地域の防災体制が整い、災害から自分たちを守ることができます。その橋渡しとなるような事業を展開し、また、災害時に我々が行うボランティアセンターの設立などの活動を知ってもらう事で、災害時に頼ってもらえるような存在になれること、そして、地域の防災意識を醸成し、伊勢崎市が災害に強く、誰もが持続可能なまちとなることを目指します。(※2)

【次代を担う青少年に向けて】

 持続可能な地域を創造していくためには、次代のまちを担っていく青少年の成長は重要な要素です。人間は生まれてから様々な環境や集団に身を置き、社会と関りをもちながら過ごしていきます。あらゆる場面において、人とのつながりは重要であり、助け合って生活をしていきます。また、青少年時期の学校や、家庭、地域などでの人とのつながりは、青少年の成長に良い方にも悪い方にも影響を与える大きな要因だと考えます。青年会議所としても、青少年が様々な人と交流し、成長する機会の場を提供したいと考えます。
 子供たちは様々な人との交流をもつことで多様な考えを学び共感し、豊かな人間性を育むことができます。そのためには良い人間関係を築いていくことが必要で、相手を思いやる気持ちをもち、共感をしあう能力が必要となります。(※3)相手の表情や仕草などから気持ちを察し、相手を思いやる力は、対面で身に着けることができ、これは人と接するうえで必須能力として求められます。多様性のある社会である今だからこそ、他人を思いやる心や協調性を身に着けることが必要となります。様々な人との交流という経験が、その人の考えや成長の幅を広げ、成長の可能性を広げていけると思います。
 誰もが一人では生きることができず、多くの人の支えがあることで社会が成り立っています。他者とつながりをもつことが、青少年の成長の幅を広げ、地域の青少年のために行動することが持続可能な地域につながると信じ事業に取り組んでまいります。

【結びに】

 青年会議所に入会する際、運動に共感し納得したうえで入会する人は少数です。各々が違った立場や考えをもちながら運動に参加していき、事業に参加していただいた方の笑顔をみたり、感謝の言葉をかけられたり、また、ともに活動する仲間と、時には辛く大変な中でも切磋琢磨しながら活動し、地域のため、仲間のために能動的に行動できる人財に成長していきます。運動への参加のきっかけは人によって様々だと思いますが、一番は人とのつながりだと思います。私も、先輩方に声をかけていただき積極的に参加するようになり、悩んでいる際には指導やアドバイスをいただくことで、他では得ることのできない経験をし、成長することができました。私がこれまでにいただいた経験を後進にも経験していただくため、様々な機会や活躍の場を提供し、今後の伊勢崎青年会議所をさらに躍進させる人財となってもらえるように、一年間全身全霊を賭して青年会議所活動に取り組んで参ります。
 結びとなりますが、長きにわたり青年会議所運動にご尽力いただいた多くの先達に敬意と感謝を表すとともに、多大なるご理解とご協力を賜りました、行政、諸団体をはじめとする地域の皆様に心より御礼を申し上げます。今後も伊勢崎市の益々の発展に寄与できるよう、同じ志をもつ仲間と共に覚悟をもって全力で職務を全うする所存です。皆様の変わらぬご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げ、理事長所信といたします。

※1:
国土交通省 国土交通白書 2022 気候変動に伴う災害の激甚化・頻発化(mlit.go.jp)
https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/r03/hakusho/r04/html/nj010000.html

※2:
伊勢崎市ホームページ伊勢崎市国土強靱化地域計画/伊勢崎市(isesaki.lg.jp)(参照2022-3-25)
https://www.city.isesaki.lg.jp/soshiki/somubu/anzen/bousai/12863.html

※3:
特集 若者にとっての人とのつながり|平成29年版子供・若者白書(全体版)-内閣府(cao.go.jp)(参照2018-06)
https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h29honpen/s0_0.html