第59代理事長
設樂 浩司
青年会議所とは何か。その答えは人それぞれでしょう。
「お前は世間を知らないから人脈もない。伊勢崎で商売をしている以上、地域に貢献することが努めだ。」入会を勧めていただいた方からの言葉です。私は「人脈」とは何か、「世間を知る」ということがどういうことなのかを知るために入会しました。父の病気に伴い会社の経営を任されるようになりましたが、急とはいえ自分の非力さ、未熟さ、弱さを痛感したのを覚えています。経営者としてままならない自分に、仕事以外のことをしている余裕があるのか不安に思いながらも、私の青年会議所活動が始まりました。
青年会議所はいつの時代も歩みを止めず歴史を築いてきました。戦後焼け野原の中、それでも当時の青年たちは地域を明るく豊かにしようと立ち上がりました。そのDNAは今もこれからも引き継いでいかなくてはなりません。新型コロナウイルスという脅威に対しても同様です。私たち青年が顔を上げ、前を向き、歩き続けなければなりません。自身のため、地域のためには今何が必要なのか。共に考え、行動を起こし2022年度を自分自身の成長と明るい豊かな社会の実現の一年としましょう。
第52回を迎える群馬ブロック大会を、2022年度は公益社団法人伊勢崎青年会議所(以後、伊勢崎青年会議所)が主管します。
現役のメンバーの中で、群馬ブロック大会主管LOMとしての設営を経験したメンバーはいません。しかし、日頃から伊勢崎の地を中心に長年運動を展開してきた私たちにとって群馬ブロック大会の設営は決して特別なものではありません。むしろ県内11青年会議所に伊勢崎青年会議所の組織力を披露する絶好の場といえるでしょう。
日頃、伊勢崎市内で事業を展開している私たちにとって、今回の群馬ブロック大会主管LOMという役割は、近年にはない規模で伊勢崎青年会議所が事業を展開するチャンスです。募集エリア、募集人数等、かなり広域な範囲を対象とした事業になり、今後の伊勢崎青年会議所の成長に繋がる事業となるはずです。メンバーの皆様には是非この事業に自ら進んで参加し、己の成長、会の成長のために思う存分力を発揮していただきたいと思います。
そして、伊勢崎青年会議所の組織力を存分に発揮し、公益社団法人日本青年会議所関東地区群馬ブロック協議会としっかりと連携をとり、伊勢崎の地に来ていただく県内の青年会議所メンバーをお迎えしましょう。
来年2023年度、伊勢崎青年会議所は創立60周年を迎えます。10年前、50周年を迎えた時のメンバーは現在5名と全体の約1割です。60周年を迎えるにあたり、メンバーの皆様にはこの10年の伊勢崎青年会議所の歩みを知ってほしいと思います。また、入会間もないメンバーの中には伊勢崎青年会議所のことをまだよく理解していない方も多いでしょう。新型コロナウイルスの影響で集まることが制限され、例会や会議はWeb開催になり、メンバー間の繋がりを深める場としての懇親の機会も減りました。青年会議所の事業はメンバー間の信頼や協力あって、初めて成り立つものです。伊勢崎青年会議所がこれからさらに飛躍するために、また60周年の節目を迎える前に、メンバー同士の絆を深めながら歴史を振り返り、これからの伊勢崎青年会議所がどうあるべきかを一度皆様 と考える場が必要であると思います。そしてその先に待つ70周年、80周年へと続くために、メンバー一人ひとりが伊勢崎青年会議所の歴史を築いていく一員であることを自覚し、日々の活動に邁進していただきたいと思います。
2020年、2021年と新型コロナウイルスの影響でいせさきまつりは中止となりました。本年度もまだ開催できるかどうか分かりませんが、伊勢崎というまちに住む私たちにとって、いせさきまつりは唯一無二の大切なイベントです。
いせさきまつりは、伊勢崎青年会議所にとっても市民の方たちにとっても、長年続く伝統を繋ぐ貴重な場であり、多くの方たちと触れ合える事業です。伊勢崎青年会議所が長年にわたり担当しているおまつり広場は、かかあ町駐車場にて毎年様々なアイデアと工夫を凝らし、子どもからお年寄りまで多くの方を対象とした事業です。十数年続く百人みこしは他団体・関係各所と連携し、今ではいせさきまつりのメイン事業にまで発展しました。その他にも多くの催し物が開催され盛り上がるいせさきまつりを、楽しみにしている市民の方たちは多いはずです。
また、入会間もないメンバーにとっては青年会議所活動の本質を知り、今後の伊勢崎青年会議所の主軸を担っていくための貴重な経験の場です。私も百人みこし部会の担当を経験したことが、青年会議所活動に意欲的に参加するきっかけとなりました。例年続く事業を引き継ぎ、準備から設営にわたり多くの方のご協力を得て一つの事業が成り立つことを知りました。一人では到底到達することのできない達成感を味わった経験は、これから先も貴重な経験の一つとして私の中にあり続けるでしょう。単年度で役職が変わる青年会議所のルールの中で、メンバー各自がそれぞれの役割で存分に己の力を発揮していただきたいと思うとともに、本年度のいせさきまつりが無事開催されることを願います。伊勢崎市をはじめ関係各所と連携し、伊勢崎青年会議所メンバー一丸となっていせさきまつりを成功させましょう。
世の中の情勢は刻一刻と変化しています。働き方や仕事の在り方も同じです。十年一昔と言われる中で、日々行なっている業務も10年後には大きく変化しているでしょう。私がいる業界も私が働き出した頃はまだ存在していた職業が、今は形を変えて仕事を続けています。今と同じことをしていても10年後に同じ仕事、生活を保障されるわけではないのです。多くの方が10年前と今を比べた時、少なからず実感する部分はあるでしょう
また、副業を認める企業も年々増えています。理由はさまざまですが、主な理由としては「経済的な補填」「本業に関連した副業をすることで従業員のスキルアップなど本業との相乗効果」「働き方改革、コロナ禍により在宅ワークが増えたことによる空いた時間の有効活用」などです。様々な理由で企業もそれに適応せざるを得ない状況となっているのです。
これから先も新型コロナウイルスの影響に限らず仕事や生活が一変する可能性は大いにあるでしょう。AI(※1)やICT(※2)、IOT(※3)はさらに発達し、働き方や仕事の在り方、私たちの生活はより快適に、よりスマートに変化しながら新しい仕事や生活スタイルは今後も生み出されていきます。今後の日本を背負う我々青年経済人は、その変化に常に対応できる状態でいることが必要になってくるでしょう。
青年会議所は満40歳で卒業となります。在籍年数は人それぞれでも、青年会議所で培った経験や出会いは、卒業後もかけがえのない財産として自身の中にあり続けるでしょう。見ず知らずの者同士が青年会議所を通じて知り合い、まちのため、仲間のため、自身のために日々活動します。組織を円滑に効率よく動かすためには、それぞれが自分の役割と立場をしっかりと認識し、ルールの中で職務を遂行することが大事です。青年会議所の任期は1年です。年度が変われば役職も業務も変わります。この単年度制のルールが青年会議所の一つの特徴であり、若いメンバーが増えてきた今こそ、それぞれの立場や組織の在り方、ルールを再認識する必要があります。
まちづくりの一部を担うのは私たち青年会議所です。一人の青年経済人として、またJAYCEEとしての資質を向上させることが組織を成長させます。その成長がまちの豊かさに繋がっていくのではないでしょうか。
しかし、既存のメンバーの資質を向上させることだけが、組織の成長や発展に繋がるわけではありません。青年会議所は地域にとって必要とされることで初めてその存在意義を示せるのです。そしてこれからも地域にとって必要とされる団体であり続けるためには、魅力ある組織を維持し続けなければなりません。そのためには会員拡大は必要不可欠なのです。なぜならば、満40歳で卒業となる青年会議所に新しい仲間を招き入れなければ組織は存在し続けられないからです。そして新たに迎えたメンバーが起こす新しい風は、青年会議所をさらに活発化させ私たちの活動の意欲を掻き立て、地域に発信し続ける魅力ある団体へと成長させるでしょう。個人や組織に対して魅力として感じる部分は人それぞれです。様々な魅力をもつ人間が集まる伊勢崎青年会議所が私の目指す魅力ある組織です。
個人の資質向上が組織を成長させ、さらには魅力ある団体になることで、会員拡大は自ずと成功に向かうと考えます。この循環を常に意識し、魅力ある人間、組織であり続け、これから出会う新たな仲間に思いを馳せ、メンバー全員で会員拡大に邁進しましょう。
新型コロナウイルスが与えた影響は計り知れず、世界中を混乱に陥れました。ライフスタイル、働き方、コミュニケーションの方法などが一変し、今までの当たり前が当たり前でなくなる現実を私たちは目の当たりにしました。人との接触を極力避け、イベントが中止になる。楽しみや期待していたことが奪われたことを自分のことと置き換えれば、とても悲しく寂しいものです。私は小学校2年生から大学まで野球一筋で生きてきました。そこには常に目標があり、苦楽を共にした仲間と切磋琢磨し、かけがえのない時間を過ごしました。自分自身や仲間、チームが目指すもののために、挫折を味わいながらも長い時間をかけて積み上げ、目指した場所で仲間と全てを出し尽くせたことが今の私にとって大きな支えとなっています。そのような楽しみ、目標が奪われる現実が起きている今、なんとかその集大成の場を提供してあげたい。それがあって初めて、奪われた人たちは自分がやってきたことに誇りや達成感を味わえるのではないでしょうか。苦楽を共にする仲間と共有した時間、目標に向かって費やした時間は一生の宝物になります。今のままでは将来、昔話をしても「コロナで行けなかった。」「コロナで中止になった。」という会話で溢れるでしょう。だからこそ、その空白の時間、すっぽりと空いた穴を埋めてあげられる場を提供したいと切に願います。奪われた人たちにとって、そのかけがえのない経験や時間を補えた時、将来同じような境遇になった人たちへ手を差し伸べる心が生まれるのではないかと思います。伊勢崎市がこれから先も明るい豊かな社会を築いていくために、そこに住まう人たちが手と手を取り合い、助け合いの精神をもち、誰も取り残すことのない社会を実現していくことが必要です。
近頃公園を見てみると、30年前に比べて子どもたちの遊び方がずいぶん変わったなと思うことがあります。私が小さい頃は公園で真っ黒になるまで遊び、毎日擦り傷を作り、友達とケンカをしても次の日にはまた笑って遊んでいました。しかし最近はゲーム機も進化し、コミュニケーションまで取れるようになりました。ゲーム機で遊ぶことを否定するつもりはありません。ゲームの中で得られる知識やコミュニケーションも今の時代の子どもたちには必要だと思います。ただ、友達や仲間ともっと自分の身体を使って遊ぶ方法があることを、今の子どもたちには知ってほしいと思います。近年、商業施設や住宅などの環境開発によって、空き地や自然の残った場所など子どもたちが自由に遊べる場所が少なくなりました。また、様々な習い事が選べる時代になったことにより、友達と遊ぶ時間が減り、共働き世帯、核家族が増えたことで家族と過ごす時間も希薄になっているように感じます。子どもたちの遊び方の変化はこうした背景を考えると、決してこれは子どもたちが原因で起きていることではありません。だからこそ、友達や家族と身体を使って大いに遊び、学校や家庭では学べない感性を養ってほしいと思います。
子どもたちにとって、もちろん勉学に励むことは必要なことです。しかし遊ぶことも大事な仕事と私は考えます。友達や家族と密度の濃い時間を過ごしていただき、世の中には色んな遊び方があることを知り、その中で多くのことを学びながら成長してほしいと思います。デジタルの世界だけでなく、自然の中に身を置き、クタクタになるまで遊び、その後のご飯がいつもより美味しく感じることを、今の子どもたちには知っていただきたいと思います。
私たちが住む伊勢崎市の人口は平成24年の10年前に比べ約0.6%ですが、増加しております。日本人は減少しておりますが、外国人が増加していることでわずかではありますが増えております。世帯数を見てみると日本人世帯11.2%増に対し、外国人世帯は52.5%増えており、伊勢崎市全体を見てみると13.4%増えております。人口の増加に比べ世帯数の増加が目立ちますが、日本人については人口が減っている現状がありながら世帯数は増え、外国人に関しては人口も世帯数も大幅に増えております。(※資料1、2、3参照)
人口減少が叫ばれる中、伊勢崎市の人口増加の背景にはこうした外国人労働者や外国人世帯の増加が大きく影響していると考えられます。伊勢崎市の経済がこれからも発展していくためには外国人の力は必要です。伊勢崎の地で働くことになればその地に住み、ゆくゆくは所帯を持ち家族が増えます。このサイクルが伊勢崎市に住む外国人の増加の大きな要因ではないでしょうか。また、日本人の人口は減っている中で、少子化も叫ばれる中ではありますが、伊勢崎に住む人たちにとって子どもを育てていくための環境作りがより良くなることで伊勢崎市の人口増加をさらに見込めるのではないかと思います。
それでは、これから先も外国人を受け入れながら、国籍に捉われず、そこで共生していくためにはどうしたらよいでしょうか。それには様々な環境の整備や地域のコミュニケーションをさらに深め、子どもや大人関係なく、同じ地域に住む人同士が互いに手を取ることが必要です。これから先も外国人の増加は進んでいくと考えられます。国や文化、人種に縛られない関係性を築き、お互いを理解し尊重しあうことで、自分たちが住む伊勢崎というまちを明るく豊かな社会、持続可能なまちであり続けることができるのではないでしょうか。
まちづくりは一人の力ではどうすることもできません。しかし、このまちに住む多くの方と共に考え、行動を起こし、これから先も住み続けるまちの明るい未来を共に創っていきましょう。
入会して以来、青年会議所では多くのことを日々学ばせていただいております。青年会議所活動を継続することは大変です。しかしその継続した先に、歯を食いしばって頑張った人のみが知る答えがあると思います。私の青年会議所とは何かの答えは「人」です。青年会議所活動を通して人とのつながり、地域とのつながり、仲間の大切さ、有難さを改めて学ばせていただきました。そして出会った多くの人たちに救われながらも、多くの学びや刺激をいただき今の私があります。2022年度も多くの方と出会い、密度の濃い時間を共有し、新たな伊勢崎青年会議所の歴史の1ページを共に刻みたいと思います。そして伊勢崎青年会議所がこれから先も皆様に愛される団体であり続けられるように共に活動していきましょう。
最後になりますが、58年という長い歴史を紡いでこられた先輩方、当団体に多大なるご理解とご協力を賜りました地域の皆様、行政並びに関係諸団体の皆様に改めて敬意と感謝を申し上げます。引き続き、本年度も変わらぬご指導ご鞭撻並びにご協力を賜りますようお願い申し上げ、公益社団法人伊勢崎青年会議所2022年度理事長所信とさせていただきます。
※1 Artificial Intelligence
※2 Information and Communication Technology
※3 Internet of Things
資料1:
伊勢崎市ホームページより引用
伊勢崎市人口世帯表参照(平成24年9月1日現在)
https://www.city.isesaki.lg.jp/material/files/group/24/h-24-9-1.pdf
資料2:
伊勢崎市ホームページより引用
伊勢崎市人口世帯表参照(令和3年9月1日現在)
https://www.city.isesaki.lg.jp/material/files/group/24/R030901-setaihyou.pdf
※資料3:伊勢崎市の人口と世帯数の推移(資料1・2から抜粋)
平成24年9月1日 | 令和3年9月1日 | 増減 | 比率 | |
---|---|---|---|---|
日本人人口 | 201,274 | 199,172 | -2,102 | -1% |
外国人人口 | 10,016 | 13,468 | 3,452 | 34.5% |
人口合計 | 211,290 | 212,640 | 1,350 | 0.6% |
日本人世帯 | 77,373 | 86,042 | 8,669 | 11.2% |
外国人世帯 | 4,414 | 6,731 | 2,317 | 52.5% |
世帯合計 | 81,787 | 92,773 | 10,986 | 13.4% |